深刻な警告 今こそ対策強化を
国連のグテーレス事務総長が、7月27日の記者会見で「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と述べました。同日、世界気象機関(WMO)などが今年7月は観測史上最も暑い月になる見通しを発表したことを受けての警告です。グテレス氏は、異常気象が「新たな日常」になりつつあるとも指摘しました。
「最悪」止められる
同時に「私たちはまだ最悪の事態を食い止めることができる」と強調し、各国に具体的行動を呼びかけました。気候危機打開に向けた取り組みの抜本的強化は待ったなしです。
人間活動が引き起こした
欧州、北米、アジアをはじめ世界各地は熱波に襲われ、山火事などの被害が発生しています。日本も災害級の猛暑が続き、熱中症で亡くなる人も相次いでいます。
過去最高の気温上昇
WMOと欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」の発表によると、7月は23日までの、冬季である南半球も含めた地球全体の平均気温は16・95度でした。これまで最も平均気温が高かった2019年7月の16・63度を上回る見込みだとしています。
化石燃料の燃焼中止を
C3Sの担当者は、高温について、人為的な温室効果ガスの排出が主因になっているとの見方を示したと報じられています。
異常気象を分析する国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」は25日、北米や欧州、中国での7月の熱波は、人間の活動が引き起こした気候変動に伴う異常現象だと分析する報告書をまとめました。WWAは「化石燃料の燃焼を一刻も早く中止しなければ、より高温で長期間にわたる熱波が発生する」と警鐘を鳴らします。
1・5℃以下にするため60%CO2削減を
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は3月、世界の平均気温は産業革命前からすでに1・1度上昇しているとする「第6次統合報告書」を公表しました。同報告書は、上昇を1・5度に抑えるには、温室効果ガスの排出量を35年までに19年比60%削減することの重要性を説いています。しかし、日本をはじめ各国が現在示している削減目標では、「1・5度」目標の達成は困難です。
再生可能エネルギーへ転換を
グテーレス事務総長が27日の記者会見で強調したのは、各国の果たすべき役割です。とくに20カ国・地域(G20)が世界の温室効果ガス排出の8割に責任を負っていることを挙げて、「気候危機対策と気候正義の実現へさらに力を入れなければならない」と訴えました。その上で、野心的な排出削減目標を新たに設定することや、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を求めました。各国政府は真剣に受け止めなければなりません。
日本政府は責任を果たせ
日本は今年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)議長国です。しかし、5月の首脳声明には、気候変動の焦点課題である石炭火力発電の段階的廃止の時期などは明記されませんでした。石炭火力に固執する日本政府が抵抗したためと指摘されています。世界の足を引っ張る姿勢は議長国としての資格が問われます。
省エネ・再エネの普及拡大こそ
岸田政権は石炭火力から決別し、省エネルギーの本格推進・再生可能エネルギーの普及拡大に政策を切り替えるべきです。世界水準と比べ低すぎる削減目標を大幅に引き上げなければなりません。