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経済産業省が株式会社JERAに業務改善勧告

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電気料金高騰の中で
電力・ガス取引監視等委員会は、11月12日、日本最大の発電事業者「JERA」が卸電力取引所が開設する翌日市場(スポット市場)において、市場相場を変動させる認識を持ちながらも、停止する発電ユニットの余剰電力の一部を供出していなかったことについて、同社に対する業務改善勧告を行った。

余剰電力ためこみ4年間
 国のガイドラインでは、大手電力会社に対し、需要を超えて発電した「余剰電力」が出た場合に、そのすべてを市場に流通させることが定められている。しかし、JERAは設立当初の2019年4月から2023年10月までの間、余剰電力全量の市場供出をしてきませんでした。これにより、最も影響が大きい時では取引価格が1?/H当たり、50円以上値上がりした可能性があると指摘されています。

料金値上げの策動
 当委員会は、「適正な電力取引についての指針」(令和6年10月1日)における「市場相場を変動させることを目的として市場相場に重大な影響をもたらす取引を実行すること又は実行しないこと」(同指針第二部II2(3)イ③相場操縦参照)に該当すると判断しました。

取引価格、1kwh当たり50円以上値上
 改善命令の内容は
①スポット市場入札について、各プロセスが合理的であるか総点検を実施した上で、本来の需給関係によらずに相場を変動させ得ると考えられる箇所を特定し、システムの改修やマニュアルの改定等適切な措置を講ずること。
②本件と同様の不適切事案の再発を防止するため、卸電力取引に関する法令遵守、コンプライアンス管理の実効性確保を旨とし、以下の計画を立案すること。
1、問題意識を有する社員が社内において容易に 相談、問題提起及び通報することが可能となる ような体制の整備及び社内風土の醸成
2、社内ルール遵守のための確認、牽制体制の構 築
3、法令遵守及びコンプライアンス管理のための 情報共有、教育及び研修等による、全社員に対 する定期的かつ社内統一的な周知徹底機会の設 定 を指示しています。策定した計画について、令和6年12月12日までに、当委員会に対し、文書で報告することを求めています。

気候ネットなどが共同抗議声明
 11月15日、気候危機ネットワークと原子力資料情報室、原子力市民委員会、国際環境NGO FOEjapanは、共同抗議声明をしています。
「JERAの電力市場の市場操作に対する業務改善勧告を受けてーJERAは電力価格を吊り上げ消費者や新電力事業者に甚大な不利益をもたらした」というものです。JERAは、自らの市場優位性を利用して意図的に価格操作を行った可能性を否定しているが、結果的にJERAの行動が電力市場の競争を歪め、電力システム改革以前の旧一般電気事業者による地域独占の圧倒的支配力を維持し続け、価格に影響力を持たない小規模の地域電力などの成長の機会を奪うことになった。さらに、電力価格の高騰は、消費者にも甚大な不利益をもたらした。

国が放置し、火力発電増強へ
 声明には、「日本において急激な電力価格の高騰が起きているにもかかわらず、電力・ガス取引監視等委員会が、本件を現在に至るまで放置してきた責任は大きい。この間、「供給力不足」「電力不足」などとして火力発電を増強するような政策が次々と創設されたり、原発の再稼働・新設が必要であるかのような方針が示されたりしている。これらは、電力価格高騰の分析や見極めを見誤ったことに一因する可能性もある。市場で圧倒的に優位な立場にある大手電力会社が同様のことを行っていた可能性もあるので、全電力会社に対する調査を徹底して行うべきである」としています。

4年以上非公開に
 「なお、こうした重大な問題が4年以上明らかにされず、今回、内部からの指摘によって明らかになったことは、特に注目されるべきである。電力ガス取引監視等委員会は、 また、電力・ガス取引監視等委員会のみならず、市場を運営する日本卸電力取引所(JERA)の監視機能が働いていないことも問題である」としています。JERAなど大企業と国との癒着関係が、国民生活にマイナスの影響を与えていることは明らかです。

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