コロナ禍で苦しむ国民の暮らしや経済の再建、外交・安全保障、エネルギーなど、国の針路をめぐる重大問題が問われるなか、10日に閉会した臨時国会。追及から逃げ回る岸田政権と真正面から対決した日本共産党の姿を振り返ります。
「ここで終わらせるのではなく、次の国会でも審議してもらい、一人でも多く救ってほしい」
統一協会の被害者救済法が可決・成立した臨時国会最終日の10日、参院本会議場には、元妻による献金被害を訴えてきた橋田達夫さんの姿がありました。声を上げた被害者や問題に取り組んできた弁護士、世論の力が、悪質な寄付の勧誘の法規制に消極的だった岸田文雄政権を動かしました。
しかし、統一協会の被害の中心であるマインドコントロール(洗脳)下の寄付の勧誘を明確に禁止せず、多くの被害者を救済できるものにはなりませんでした。
世論に押されて
当初、政府・与党は臨時国会での救済法の提出を想定していませんでした。しかし、被害者の告発で、統一協会の悪質な活動による家庭や生活破壊の深刻な実態が次々に明らかに。“正体を隠して接近し、教義を植え付けて洗脳した上で、高額献金をさせる悪質な寄付勧誘を禁止しなければ、被害者を救済できない”―被害者救済の新法を求める世論が急速に高まりました。
こうした声に押され岸田首相は10月19日、救済法を「臨時国会を含め早期に提出していきたい」と表明。11月9日には自民党の茂木敏充幹事長が各党の書記局長・幹事長に協力を要請するまでに事態を動かしました。しかし、政府案の概要は個人を「困惑」させて行う寄付の勧誘などを禁止するだけのものでした。
洗脳下の「困惑」を伴わない
寄付勧誘の禁止には背
「ほとんどの被害が救済できない」との批判が高まる中、茂木氏は教団など法人の配慮規定として「個人が適切な判断をすることが困難な状況にしない」ことなどを盛り込む案を提示。しかし洗脳下の「困惑」を伴わない寄付勧誘の禁止には背を向け続けました。
日本共産党の小池晃書記局長は、寄付時には洗脳下にあり「困惑」していない事例が多いとして「『正常な判断ができない状態にあることに乗じた』勧誘を禁止する」などとするよう提起。しかし、修正はないまま、自民、公明、立民、維新などの合意で審議入りしました。
大きな足がかり
日本共産党は洗脳下の寄付勧誘の禁止などを盛り込んだ修正案を衆院に独自に提出。憲法が保障する「信教の自由」などを持ち出して難色を示す政府に、洗脳こそ信教の自由の侵害だと追及しました。宮本徹衆院議員や山添拓参院議員らが、洗脳下の寄付を禁止する修正は憲法の範囲内でできると衆院法制局とも整理したと主張。宮本氏は「党の修正案を丸のみすべきだ」と迫りました。参院の参考人質疑では全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士も修正案について「被害者救済にかなり役立つ」と評価しています。
2年後に見直し
修正案は共産党以外の反対で否決されました。ただ、同法の付則には2年後の見直し規定が盛り込まれました。今後の見直しへ大きな足がかりをつくりました。(1)自民党としての責任をもった調査(2)政権としての調査(3)行政がゆがめられた疑惑の調査(4)安倍元首相の癒着の調査(5)半世紀に及ぶ歴史的癒着の調査―の五つを提起。しかし岸田首相は明確な答弁を避け、癒着解明に背を向けました。統一協会と自民党の癒着によって、行政がゆがめられた疑惑も未解明です。
統一協会の早期解散請求を
養子縁組問題も、明確な人権侵害です。こうした民法上の違法行為を行ってきた反社会団体として、早期に解散請求を行うべきです。