カギは市民運動と共産党議員団
高すぎる国民健康保険(国保)料・税の負担軽減は統一地方選の一大争点です。名古屋市は独自の控除制度と減免制度をつくり、多人数世帯やひとり親・障害者世帯の保険料を他都市と比べて低く抑えています。市民の運動と日本共産党市議団の論戦による大きな成果です。
所得激減にも対応
市町村は国保料・税の値上げ抑制のために一般会計から国保会計への繰り入れ(法定外繰り入れ)を行っていました。しかし、2018年度からの国保の都道府県単位化により、政府は法定外繰り入れに“ペナルティー”を与え、全国の過半数の自治体でこの間、値上げされました。
名古屋市では市民団体や労組などでつくる「名古屋の国保と高齢者医療をよくする市民の会」が08年の結成以来、高すぎる保険料を引き下げるために、一般会計からの繰り入れを求めてきました。市議会では他党が国保関連の質問を一切しない中、日本共産党市議団が毎議会追及してきました。
均等割3%減免
市は運動と論戦に押され、10年度から法定外繰り入れで被保険者全員の均等割3%減免を実施。独自の減免制度を徐々に拡充させ、他都市を超える充実した制度に発展しています。所得激減による減免制度もその一つで、他都市と比べて優れた要件となっています。18年からは、国・県から“ペナルティー”を科されない法定外繰り入れ(決算補填〈ほてん〉等以外の目的の法定外繰り入れ)に力点を置いて運動してきました。
減免制度に、コロナ禍で打撃を受けた事業者から喜びの声があがっています。
法定外繰り入れによる減免制度。もう一つは、国保料算定の基礎となる所得額について扶養家族・障害者・ひとり親がいる世帯に配慮した独自の控除制度があります。
控除制度創設は市民の運動がきっかけでした。市が13年度に提案した所得割の算定方式の変更が「大幅な保険料値上げを招く」と大々的に反対運動を展開。共産党は負担増問題を厳しく追及し、独自控除が新設されました。県社保協の小松民子事務局長は「名古屋独自の減免制度と控除制度を全国に知らせながら、国に公費増額を求める運動を広げたい」と意気込みます。
議会で再三の要求
22年11月議会で田口かずと市議団長は「23年度から(世帯人数が増えるごとに保険料を課す)均等割額の引き下げ率を10%にすべきだ」と迫りました。
名古屋市の保険料は、多人数世帯などでは他都市より低くなったものの、単身では変わらず、特に若年の非正規労働者は負担が重くなっています。
全国市長会も法定外繰り入れ守れと
一般会計からの繰り入れ(法定外繰り入れ) 政府から“ペナルティー”を科される「決算補填等目的」と、科されない「決算補填等以外の目的」の2種類があります。前者は20年度までの7年間で市町村、総額とも4分の1以下に激減する一方、後者は総額を維持しています。全国市長会は「(法定外繰り入れの解消は)保険者(市町村)の苦境と被保険者(加入者)の負担感に配慮したものではなく、地方分権の趣旨に反すると懸念される内容も散見される」と国へ意見を出しています。
碧南市では年7600万円で引上げ中止に
碧南市は、2年前から1人5000円×5年間の国保税引き上げを行っています。基金も廃止します。
日本共産党は、年7600万円の引き上げ分は、市の繰り入れで補填できると求めています。
事業主負担がない高齢者や弱者を中心とする国民健康保険だからこそ、こうした措置は当然です。