コンビニ証明書発行で
別人のものが
健康保険証と一体化したマイナンバーカードに別人の情報がひも付けされていたことが発覚しました。コンビニでマイナカードを使って行政機関に証明書の発行を申請したところ、別人の住民票や抹消した印鑑登録の証明書が交付されるトラブルも相次いでいます。個人情報を漏えいさせないという最低限の安全性さえ確保されていませんでした。参院で審議されている健康保険証廃止法案は廃案にするしかありません。
保険証廃止法案はやめよ
別人の健康保険証情報がひも付けされていたケースは、厚生労働省によると、2021年10月~22年11月に7312件確認されました。このうち5件で医療費や薬剤など個人情報が別人に閲覧されていました。
7千件のミスが
健康保険組合などが保険証とマイナカードを連携させる作業を行った際に入力を誤った可能性があるといいます。加藤勝信厚労相は「今後こうしたことが起こらないよう注意したい」と述べました。説明になっていません。1年余の間に7000件超の誤りが続いたのはなぜか。原因を明らかにするのは政府の責務です。
法案強行のため隠ぺいか
厚労省が事態を発表したのは12日です。保険証廃止法案が審議されている国会になぜもっと早く報告しなかったのか疑問です。同法案は、保険証をマイナカードに一体化させ、24年秋に廃止します。
任意が原則
マイナカードの取得は法律で任意と決められています。16年に希望者への交付が始まりましたが、情報漏えいなどへの不安から普及が進みませんでした。岸田文雄政権は、保険証廃止によってマイナカードを一気に全国民に持たせようとしています。
「安全」崩壊
政府は「高いセキュリティー対策を講じている」(加藤厚労相)と強調していました。今や「安全」の論拠は崩壊しています。
保険証交付は義務
そもそも保険証は、国民皆保険のもとで、被保険者全員への交付が義務づけられています。マイナカードと一体化する危険性が明らかになったのに、保険証の廃止を強行すれば混乱は必至です。
強引な交付誘導
保険証廃止の方針が出てからマイナカードの取得申請が急増しています。保険証を人質のようにして、短期間に大量の交付を図ったことが、トラブル多発の背景になかったか、解明が不可欠です。
国が責任を取れ
コンビニでの証明書誤交付を巡って政府は、システムを製作した富士通Japanと自治体に運用の一時停止や再点検を求めたとしています。メーカー任せ、自治体任せは許されません。
マイナカードを使った地方自治体の事務のデジタル化は政府がデジタル関連法を制定して進めています。政府が原因究明に責任を持つべきです。
取得の押し付けに反省を
政府は、マイナカードにさまざまな機能をひも付けし、使途を拡大することで個人データを収集し利用する方針です。
デジタル庁の発足も強引
21年9月にはデジタル庁が発足しましたが、トラブルを防ぐことはできませんでした。個人情報保護を置き去りにしてマイナカードの取得を国民に押し付けたことを岸田政権は反省すべきです。
運転免許書との紐付け、一層危険
政府は保険証廃止の後、運転免許証との一体化まで狙っています。問題をうやむやにしてマイナカードの使途拡大を強行することは論外です。