解散命令請求否定せず
統一協会問題 野党ヒアリングで文科省
統一協会問題に関する野党国対ヒアリングが4日、国会内で開かれました。文部科学省の文化宗務課長は、解散命令請求の検討について「報道が正しかったとか、間違っているとかいうことは差し控えたい」と述べ、否定はしませんでした。
隠ぺい・散逸させない措置を
「全国統一教会被害対策弁護団」の阿部克臣弁護士は、現行の宗教法人では、解散命令請求後に財産保全の手続きがなく、統一協会側に財産隠匿や散逸の可能性があり、「不備がある」とし、「秋の国会では財産保全の特別設置法を速やかにつくっていただきたい」と訴えました。
宗教法人格のはく奪を
信者2世で被害者の「もるすこちゃん」(仮名)と、母親が信者で約1億円の損害を被った女性(60代)が参加。本名と顔を出して被害を訴えてきた橋田達夫さんがオンラインで参加しました。
もるすこちゃんは、幹部たちがいまだに金銭的利益を得るため、信者をだましており「宗教法人が会計情報をブラックボックス化する隠れみのになっている」と指摘。統一協会の宗教法人格の剥奪のための解散命令は「問題解決のためのスタートラインだ」と発言。橋田さんは「統一協会を後世に残したくない。一日も早い解散命令を」と訴えました。
他の宗教団体も統一協会との違いで後押しを
統一協会問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏も出席し、内閣改造で統一協会と関係の深い安倍派の議員が文科相になることを懸念しつつ、こうした流れにストップをかける動きとして「他の宗教団体が、自分たちは悪質性のある統一協会とは『違うんだ』ということを明確にして、国の動きを後押ししてほしい」とコメントしました。
徹底追及 統一協会
集団結婚
5月世界各地 本人意思で選べず
統一協会(世界平和統一家庭連合)が5月に韓国など世界各地で集団結婚の式典を開き、公式発表で約8000組のカップルが参加したことが3日までに分かりました。統一協会の問題に詳しい弁護士は「信者に婚姻の自由を認めず、教義に基づく結婚をさせることは人権侵害だ」と批判しています。
人権無視の洗脳→献金
統一協会は5月7日、本部がある韓国・清平(チョンピョン)の関連施設「清心平和ワールドセンター」で集団結婚の式典を開きました。集団結婚で大規模な式典を開くのは3年ぶりです。その様子を写真つきで報じた統一協会の月刊誌『世界家庭』によると、式典には56カ国から約1300組の新郎新婦たちが集まりました。
開祖・文鮮明(故人)の妻である韓鶴子総裁が金色の衣装で登場し、「祝祷(しゅくとう)」と称したスピーチや新郎新婦たちに指輪を贈るなどして特別なムードを演出。「真の父母様(開祖夫妻)の恩賜で、天宙の前に聖婚が成立したことを宣布します」と述べ、ステージ上で歌を披露しました。
この日は全世界で集団結婚の式典が開かれ、150カ国の約8000組が「祝福を受けた」とされます。日本と台湾からも1270人が参加し、そのうち約600人が韓国での式典に出席したと報告しています。
マッチングで入会
統一協会で集団結婚は「最も尊い宗教儀式」とされ、1960年から毎年のように式典を開催しています。参加費として信者が70万円、信者2世は20万円を献金することになっています。
当初は開祖・文鮮明が選んだ異性と強制的に結婚させ、どんな相手であっても断ることができないとされていました。
統一協会のホームページによると、現在は専用の“マッチングサイト”に登録し、全国各地の「家庭教会」にいるスタッフから相手の紹介を受けるというシステムです。
自由な恋愛禁止
救済に取り組む渡辺博弁護士は「近年では『結婚相談』と書かれたチラシを配り、未婚の男性を勧誘する例もあります。統一協会は信者に恋愛を禁じ、本人の自由な意思で結婚相手を選ぶことも認めていません。協会の意のままに信者を振り回すことは人権侵害であり、結婚後の配偶者からの暴力や児童虐待の問題にもつながっている」と指摘します。