こども誰でも通園 親の都合優先?
「親の就労にかかわらずすべてのこどもの育ちを応援する」―こんな看板を掲げて、政府は「こども誰でも通園制度」を創設しようとしています。国会で審議中の子ども・子育て支援法改定案に盛り込まれており、2026年度から全国での実施が目指されています。
6カ月~2歳児対象。就労なしで
「家庭とは異なる経験のなかで成長できる機会を保障する」「在宅で子育てする保護者の孤立感や不安感の解消につながる」と政府は意義を強調します。
その中身は、親が就労しておらず保育所などに通っていない生後6カ月から2歳の子どもを対象に、月一定時間(当面10時間)までの利用枠の中で時間単位で預けられるというものです。
こどもを中心に・・・というが
政府は、現在の一時預かり事業が「保護者の立場からの必要性に対応するもの」なのに対し、新制度は「こどもを中心に考えるもの」だとします。
子どもも保護者も、保育の専門家や家族以外の人と交流しながら子育てできる環境の整備は重要で、多くの保護者の要求です。しかし、提案されている誰でも通園制度はあまりに看板倒れです。
「人見知り」時期に、 スマホで申し込み?
利用は事業者との直接契約です。預ける園・曜日・時間を決めて定期的に利用する方式(1日5時間で月2回、1日2時間で週1回など)だけでなく、スマートフォンのアプリで空き状況を見てその都度、空いている園・時間にスマホから直接申し込む方式が考えられています。
企業参入も
政府は、「柔軟に」「簡単に」「タイムリーに」予約できることを新制度の利点として押し出し、「できるだけ利便性を高めたシステム」にするとします。空きがあれば直前の予約も可能で、全国どこの事業所にも予約できます。実施場所は保育所、認定こども園などのほか、駅周辺など利便性の高い場所とされ、企業の参入が狙われています。
子どもの安全危惧
市町村が事業所を認可しますが、認可基準は緩く、必要な保育従事者のうち保育士は半分でよいとされています。乳幼児を事前の面談なしに保育士資格のない人がみることが可能な仕組みです。制度の詳細は、昨年度から始まった試行的事業の状況を踏まえて検討するとされますが、つくろうとしている制度は政府が理念に掲げるようなものではありません。子どもの安全が保てるのか強く危惧されます。
子どもや保育のストレス懸念
日本の保育士の配置基準は諸外国と比べて低く、保育士1人が見る子どもの数が多すぎるのが現状です。そこに新たな子どもが短時間、日替わりで来るとなれば現場の負担はさらに増えます。アレルギーや発達状況など必要な情報が把握されず命にかかわる事故が起きかねません。慣れない環境に置かれる子どものストレスが懸念されます。
来年からは年60時間から入園可
政府は2025年度から、入所基準を月90時間を60時間に緩和します。
碧南市は2024年度から、羽久手・日進保育園で1歳児保育を暫定的に行っています。
現在公立保育園5園のうち鷲塚保育園以外は0・1歳保育をやっていません。民間法人を公募するなら、公立保育園での0・1歳児保育を行うことが必要です。
豊かな保育は、経験と補償から
「こどもを理解するには一定の時間がかかる」「今通っているこどもたちの保育に支障があってはならない」と指摘されています。
すべての子どもの育ちを応援するには法案のやり方ではだめです。保育士の配置基準を抜本的に改善し、専用の保育室を確保し、親の就労にかかわらず公が責任を持つ保育施設に入れる体制をつくるべきです。
日本共産党は「親の就労にかかわらず、すべての子どもの育ちを応援する」という理念には、全面的に同意します。しかし関係者の意見もそこそこに実施年度を決めるこの制度は問題ありです。
2025年度~小規模保育園発足
「碧のうさぎ」の法人に
碧南市は2025年度から保育の入所基準が「月90時間→月60時間」に緩和され、小規模保育園を公募していました。
2法人から提案書が出され、現在「碧のうさぎ」を運営する法人に決まりました。もう一社は横浜市のランドマークタワー38階の株式会社エクシオジャパンでした。
(1)所在地:碧南市向陽町1丁目
「碧のうさぎ」隣接地
(2)定員: 19名(0歳/6名 1歳児/6名
2歳児/7名)
(3)開所日: 2025年4月1日
(4)給食:碧のうさぎから運び込み