手のひら返しの豹変
「政治家のための政治ではない、国民のための政治を実現」「勇気と真心をもって真実を語り、国民の納得と共感を得られる政治を実践」…。こうしたまっとうなフレーズが、これほど空々しく聞こえたことはありません。石破茂首相が4日に国会で初めて行った所信表明演説です。
裏金議員を守る
石破氏が演説の冒頭に取り上げたのは、自民党派閥による政治資金パーティーをめぐる裏金事件です。
石破氏は「政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻す」と述べました。ところが、その方策として示したのは「問題を指摘された議員一人ひとりと改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げる」ということだけです。
自民党の
組織的大犯罪の自覚なし
裏金事件は、派閥が仕組みとして違法なヤミ金づくりをしていた組織的犯罪です。議員一人ひとりの倫理観の問題に帰着させることはできません。再発防止には真相の徹底究明が不可欠ですが、石破氏は再調査に一貫して背を向け、統一協会問題でも「真実を語る」ことから逃げました。
しかも、裏金事件で党の処分を受けた議員を総選挙で原則公認し小選挙区の公認候補は比例代表との重複立候補も認める方針を固めたと報じられています。これでは「裏金政治家のための政治」ではないのか。
軍事同盟強化、憲法壊し
石破氏は日米軍事同盟を外交・安全保障の「基軸」として「一層強化する」と述べ、憲法を壊し日本とアジアの平和を脅かす大軍拡の加速を表明しました。
辺野古基地を強行
沖縄の基地問題では「負担の軽減に取り組む」「地元を含む国民の理解と協力が不可欠」と言いながら、米軍普天間基地の「辺野古への移設工事を進める」と断言し、沖縄県をはじめ県民多数が反対する新基地建設の強行を宣言しました。
地位協定温存、少女暴行温存
一方、米軍の治外法権的な特権を定めた日米地位協定の改定については、石破氏自身が自民党の総裁選で公約していたにもかかわらず触れずじまいでした。
核廃絶、ガザ触れず
石破氏は、被爆者をはじめ国民の悲願である核兵器の廃絶や、日本と世界の多くの人々が深く心を痛めているイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの国際法違反の攻撃にも一言も触れませんでした。「国民の納得と共感が得られる政治」とはかけ離れています。
ジェンダー平等、わかっているのか
石破氏は1日の組閣で20人中2人しか女性を入れず批判を浴びました。しかし、この日も「女性の機会を守る」と語り、「社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標」にすると強調しました。あまりにも空疎です。
くらしもエネルギーも変革なし
石破氏は、経済・エネルギーなどでも、岸田文雄前内閣の政策を受け継ぐ立場を明らかにしました。それは、景気の低迷と国民の生活苦への無為無策、医療・介護・年金など社会保障の切り下げ、原発への危険な回帰を継承することにほかなりません。
とんでもない!!憲法改悪は在任中に
首相在任中の憲法改定の発議実現を国会や国民に訴えたことも重大です。
総選挙で変えるしかない
総選挙で日本共産党は、財界・大企業の利益優先、アメリカ言いなり・日米軍事同盟絶対という自民党政治の二つのゆがみを大本から変える大改革を訴え、たたかい抜く決意です。